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こんにちは蔵の粉屋大西製粉の大西響です。

先日長野県小諸市で開催された 「そば栽培講習会」に参加してきました。

そば栽培は米や小麦と違って、雑穀であり、主要作物に数えられていないので、あまり栽培についての研究や周知がされていない現状が依然としてあります。蕎麦の産地長野県でも「蕎麦は荒れ地で育つから、肥料はいらない」など、間違った知識があるようです。

今回は佐久農業改良センターの担当者の方に、話を伺いました。

1、品種の選定の留意点

長野県には「信濃1号」「信州大そば」「しなの夏そば」「ひすいそば」「タチアカネ」「高峰ルビー」それから数多くの在来種があります。(厳密には蕎麦は他家受粉であり、虫による受粉が必要なので、試験場以外の品種は混ざりというのが多いです。)
「信濃1号は」言わずと知れた長野県そばの代名詞、いわば王様です。長野県の作付面積の95%以上が信濃1号だと言われています。生育期間は約70日、風味、味が良いとされます。昭和19年に認定品種されました。
「信州大そば」は普通の蕎麦の4倍体、実が大きく可食部分が多いです。製粉屋の立場からすれば、通常よりも大きいため、脱皮しにくく、加工しにくいという事情があります。あまり普及が進んでいません。
「しなの夏そば」は長野県の気候に適した春まき夏収穫の夏そば、生育期間(約50日)が短く、8月には食することができます。
「ひすいそば」2013年に開発された新品種、緑色が濃いのが特徴です。
「タチアカネ」「高峰ルビー」赤いソバの花が咲きます。粉の色は普通の色です。

品種を選ぶ際は
撒く時期に合わせた品種を選ぶことが非常に重要です。
5月ごろ種を撒き、7月に収穫できるものを夏そば。8月ごろ種を撒き11月ごろ収穫できるものを秋そばと言います。夏そばを栽培するなら「しなの夏そば」や北海道で主に栽培されている「キタワセ」が向いています。秋そばを栽培するなら「信濃1号」や「ひすいそば」が向いています。

2013年 新品種ひすいそばが開発されましたが、今でも更に良いものが開発されています。グリーンの色の美しさ、台風がきても倒れない、多収穫できることが、求められています。お米は1つの田んぼ(1反)で530㎏の収穫がありますが、蕎麦は60㎏と言われています。品種改良で、安定供給できる 日は近いかもしれません。

2、そばの生育について

そばの花が咲く時期と虫(蜂やアブなど)が飛ぶ時期を合わせることが非常に重要です。また自然の虫があまり飛んでいないような環境ではそばの花は咲けども実はなりません。花の開花が虫の活動が盛んになる8月後半から9月まで、それ以降は難しくなります。

標高の高い山間部では 霜が降りることがあります。
夏そばは種を撒く時期を秋そばは収穫の時期に注意する必要があります。

3、そば栽培について

・圃場について
蕎麦は種を撒いてから2~5日ほどで芽が出てきます。
撒いてから雨が多量に降り、種が濡れてしまうと発芽率が非常に悪くなってしまうので、天気を見ることは非常に大事です。
晴れている時で発芽率は87.4%、1日種に水分が付いた状態でそばの発芽率は26%、3日種に水分が付いた状態なら発芽率は2.6%になってしまいます。翌日以降雨が降る時は、そばの種蒔きはしてはいけません。
水田の転作で、蕎麦作りに挑戦される方は、圃場の排水対策を必ず行ってください。

・肥料について
蕎麦は吸肥力が非常に高い作物になります。「蕎麦は荒れ地でも育つ」と言われるゆえんでもあります。
ただ、注意が必要なのは、吸肥力が非常に高いので、どんな地力の高い土地でも3年もすれば、地力が無くなってしまいます。野菜など作物を栽培した後に連作対策として、蕎麦栽培を行う場合は肥料は必要ない場合もありますが、蕎麦栽培のみをする場合は肥料が必要になってきます。

>堆肥の利用について
10アールあたり1トンの完熟堆肥を圃場全面に散布してください。
>土壌改良について
pH6.0 が最も望ましいが、適応pHは広いため、あまり気にする必要はありません。
>施肥について
10アール当たり 窒素2~5㎏ リン酸2~5㎏ カリ2~4㎏を全面施肥してください。
特に リン酸が 生育に最も影響を与えます。カリは無くても影響ありません。また窒素の多すぎは幹の生育しすぎで倒れやすくなります。

・播種について
唐箕選などでできるだけ、充実したものを選ぶ。
播種の時期が遅くなるほど、収穫量は少なくなります。
播種方法方には条撒きと散撒きがる。
条播きでは条間を30センチ程度の狭い条間で行う。
除草の必要はない。そばの根から雑草の生育を抑制する物質が発生しているため。

・収穫適期について
手刈りの時代には 黒化率30%くらいで刈り取り、島建てをして、追熟をさせる。
コンバインの場合は黒化率80%くらいで刈り取る、100%にすると脱粒する蕎麦が多くなってしまうので、早めに刈り取ることが大事である。

・乾燥
水分率16%になるように、素早く乾燥をおこなう。そばの風味をなくしてしまうため、
熱風乾燥はしない。

蕎麦は他家受粉で隣の畑で違う品種を栽培すると、混ざってしまう特徴があります。
近隣の農家とコミュニケーションはもちろんの事、栽培の設備をともにし、品種などを統一しブランド化するなど、地域ぐるみで蕎麦の栽培をおこなう集落営農が必要とされています。

現在 2015年国内の蕎麦の自給率は3割、国産のおいしい蕎麦栽培を推進していきましょう。

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