こんにちは蔵の粉屋大西製粉の大西響です。

2018年度もあと少し、
現在、大西製粉では全国のそば打ち愛好家様に信州そばをお届けすべく、
鋭意製粉中です。

蕎麦の製粉の方法には、石臼挽き製粉、ロール挽き製粉 などありますが、
最近は黒い殻をどのように脱皮するかにも、愛好家様からの質問が多くなりました。
関心が高くなってきているように感じます。

手回しの石臼で製粉していた時代
黒い殻付きの蕎麦の実を石臼に投入し、ゴリゴリと製粉していました。
黒い殻も一緒になったそば粉を粗い篩(ふるい)でふるって、
そば粉を抽出していました。

その後、
機械化が進み、大型の機械で殻付きの蕎麦の実を2つに割りながら、
集塵機でそばの殻だけを取り除くようになりました。
集塵機の強さを調整することでそば殻の量を調整できます。
割る強さを変える事で、2つ割り、3つ割りなど調整、
更にフルイを使い、打ち粉用のそば粉を抽出することができる機械です。
この様に割りながら取れる蕎麦の実を「挽き割り」と言い、
この挽き割りを使って製粉するそば粉を
「挽きぐるみ蕎麦粉」といいます。

この挽きぐるみそば粉は、
香りや粘りに優れ、黒い殻も粉として入っているため見た目も蕎麦らしく、田舎そばと言われます。
しかし黒い殻ごと一緒に挽いているので、
そばの殻、土や埃などが入りやすく、蕎麦本来の味や香りを邪魔するものでした。

昭和50年代にはいり、
蕎麦の実を割らずに形を残したまま黒い殻を取り除く丸抜き脱皮の機械が開発されました。
その後、機械の小型化も進められ、
自家製粉そば打ちブームとなり、丸抜きのそばの実で製粉する製法が広がります。
蕎麦の実の中心にあるでんぷん質の部分も含むため、
透明感がある麺は清涼感があり、人気となります。
この蕎麦の実を使って製粉するそば粉を
「丸抜きそば粉」といいます。

そして最近
そばの実の丸抜きのそばは見た目も美しく美味しそうですが、
昔ながらの野趣あふれる蕎麦の雰囲気を求めるそば愛好家が増えています。

脱皮の前に蕎麦の実からゴミや埃などを取り除く精選という作業が、
新しい機械が開発されたことで、革新的に進化しました。
これにより、
黒い殻ごと挽いて土や埃など蕎麦本来の味や香りを邪魔していたものが排除され、
挽きぐるみでありながら、雑味のない「新しい挽きぐるみ蕎麦」が完成しました。

石臼で製粉するときに、
黒い殻を含む挽き抜きの実の方が、殻の厚さの分、石臼が浮き粗いそば粉になりやすくなります。
一方、黒い殻を含まない丸抜きの実は、細かい均一な上品なそば粉になりやすくなります。

時代というのは、
振り子のように行ったり来たりしながら、
どんどん進化していくもののように思います。

平成が洗練されたものが好まれた時代だったとしたら、
新しい時代は粗っぽい野趣が好まれる時代になるかもしれませんね。
個性的で特徴的な蕎麦が好まれるように思います。

平成最後の年越し蕎麦は、どちらの蕎麦を食べますか?

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