そば粉について
こんにちは蔵の粉屋大西製粉の大西響です。
そば粉について、出来るだけ正しい情報、日々感じた情報、新しい情報などを発信していきたいと考えています。
そば粉とは
そばの実を粉にしたものをそば粉と言います。そば打ちをしてそば麺として利用することが多く、全国には多くのご当地そばがあります。
そば麺のほかにも、長野県ではお湯でこねてそばがきやそばすいとんとして利用されています。最近ではフランスブルターニュの郷土料理ガレット(薄焼き)としての利用も広がっています。
そばの歴史
そばはタデ科の植物で起源は中国雲南省であるとされています。日本では縄文弥生時代の遺跡からそばの花粉、炭化種子が発見されており、そばは古来食用植物として栽培されてきました。
古来の人は杵と臼を使い、そばの実をつぶして製粉をし、そばがきや団子にして食べられていたようです。鎌倉時代に中国から石臼が伝わり、製粉技術が発達しました。
現在のようなそば麺として食べ始めたのは江戸時代の少し前1500年代ではないかといわれています。江戸時代にそばは大衆の食べ物として、広く知れ渡るとともに、技術が発展し、そば文化となっていきました。
そばの実の部位と名称
蕎麦の実は部位によって特徴が違います。
蕎麦の実は外側から中心に向かって、黒皮、甘皮、表層粉、中層粉、内層粉となっています。
その部位によって蕎麦の香り、食感、粘りなどが違います。製粉技術でその部分のみを引き分けています。
部位の違いが更級蕎麦(白めのそば)や田舎蕎麦(黒めのそば)などになります。
黒皮(真っ黒い外側の殻)
この黒皮をきれいに取り除いて製粉した粉を「丸抜きそば粉」、わずかに黒皮を残したものを「挽きぐるみそば粉」、
黒皮のまま製粉したものを「玄挽き(げんびき)そば粉」と言います。
そば殻は枕の中身としても昔から利用されています。
甘皮
粘りグルテンが多く、香りも強い部分です。新そばの時期にはうすい緑色になります。 食感が悪く、色変わりしやすいという面もあります。製粉から日にちが経過すると、赤茶けてきます。
表層粉
3番粉といわれます。粘り香り繊維はありますが、食感はあまり良くはないです。
中層粉
2番粉といわれます。
内層粉
1番粉、更級粉、御前粉、打ち粉といわれます。 更級粉、御前粉と一番粉などの違いはなにか?と質問されますが、 製粉者の言い方の違い、打ち手の用途の違いであり、明確の違いは明確ではありません。 更級蕎麦の原料として使われます。大変砕けやすい部分なので非常に細かいそば粉です。 でんぷん質の部分で甘み透明感があります。粘り、香りはあまりありません。
全層粉
内層粉、中層粉、表層粉を合わせた蕎麦を全部挽いた時の粉になります。 製粉者によって黒皮を含める場合と含めない場合があります。 製粉者はそれぞれの部位の特徴を踏まえ、最適なそば粉を作り出荷し、 また打ち手はそれぞれをブレンドしながら自分に合ったそば粉を探求しています。
石臼挽き製粉とロール挽き製粉
石臼挽き製粉について
「熱を発生させないため香り粘りのある最高のそば粉ができる」
石臼をゆっくりゆっくり回し製粉しているため、製粉時の熱が発生しにくく、香りが引き立ちます。
粉を握れば手の跡が残るくらい、しっとりとしたそば粉ができます。
そばの断面を顕微鏡で見ると繊維が非常に複雑に絡まっているのが見えます。
この断面に水が入り込み、石臼挽き蕎麦独特の食感になると考えられます。
ロール挽きに比べて加水量も多くなる傾向があります。
非常に少量しか製粉できないため、ロール挽き製粉に比べて高価なそば粉になります。
機械が普及する前の手回しの石臼の速度が良いとされています。毎分15回転 約4秒で1周する速度です。
ロール挽き製粉について
「均一な粒子になるためそば打ちも簡単!初心者にもおすすめです」
二つのローラーの間を玄蕎麦が通り製粉していきます。効率的に大量に製粉をすることができます。
均一な粒子のそば粉になるためそば打ちも簡単です。初心者にもお勧めのそば粉です。
蕎麦の実は砕けやすい中心の白い部分から製粉されていくため、
1番粉(白色)から順番に3番粉(黒色)へと製粉されていきます。
打ち粉や更級蕎麦、田舎蕎麦など色の違う、食感の違う部位を抽出することができます。
そば粉の製造風景が見られます>> 大西製粉 工場見学
そば粉の保存方法
密閉、低温保存、直射日光、乾燥を避ける
そば粉を他の粉よりも劣化のスピードが速いです。少量発注が基本です。取り扱いには注意しましょう。 基本は密閉、低温保存、直射日光を避ける、乾燥を避ける。 空気の通らないパック製品の場合、できるだけ低温(冷蔵庫冷凍庫)での保存がおすすめです。 使う前には常温に戻しましょう。 使いかけのそば粉は密閉容器に入れたうえで低温に、密閉でない場合は乾燥の心配があるため、 冷蔵庫はおすすめしません。
加水について
そば粉は生き物
そば粉は生き物です。メーカーによって、時期によって、産地によって、違う場合があります。 必ず調整用の水を用意してください。
産地、畑、玄蕎麦の乾燥状態、製粉のブレンドの状態、粉の粗さ、小麦粉との割合で変わります。
※一般的に水が多めが良いとされるのは
石臼挽きそば粉、荒挽きそば粉、室温が高い乾燥気味の場合、手の温度が高い方、そば打ちに時間がかかる方です。
※水が少なめが良いとされるのは
ロール挽きそば粉、新そばの時期などです。
そば打ちについてのご質問も掲載しています>> よくある質問
そば打ちについて
そば粉を選ぶポイント
そば粉を選ぶポイントは産地がしっかりしたもの、挽きたてのそば粉であることです。
またそば粉によって特性がありますので、お気軽にお尋ねください。
そば打ちは難しいですか?とよく聞かれます。
蕎麦屋になるレベルには勿論難しいと思いますが、
ご家庭や仲間とそば打ちを楽しむことは十分可能なように思います。
初めてそば打ちの時、もしかしたら出来上がった蕎麦は不揃いで切れ気味の麺かもしれませんが、
きっと今まで食べたそばで一番おいしい蕎麦であることは間違いないと思います。
詳しくはこちらのページにも掲載しています>> よくある質問